サウンドメディア・コンポジションコース主催 公開講座 トーンマイスターワークショップ2025
2025年10月9日(木)、11日(土)、12日(日)、公開講座「トーンマイスターワークショップ2025」を開催いたしました。
本コースは、「音楽制作」「録音」「音響」 の 3つの分野を教育の柱とし、これからの時代に必要とされるクリエーターやエンジニアの育成をしています。録音の分野では、ドイツの音楽大学で長年行なわれているトーンマイスター育成の教育プログラムに着目し、2007年よりこれまで7回にわたり、ドイツからトーンマイスターを招き、本来ベールにつつまれていることがほとんどであるクラシック音楽の録音を学ぶワークショップを行ってきました。
8回目となる今回も、ベルリンより、フローリアン・B・シュミット氏を特別客員教授として招き、吹奏楽のセッションレコーディングをテーマに3日間に渡りワークショップを行いました。氏の録音の哲学やセッション録音の方法を、これまでの例から具体的に紹介いただきながら、実際にセッション形式で吹奏楽のセッションレコーディングを行い、録音の進め方から編集に至るまでを実践し、どのように「音楽的にふさわしい録音を行って行くか?」を学んでいく内容でした。
日時
10月09日(木) 15:00-18:00 「音楽録音についてと収録セッティング」
10月11日(土) 10:00-18:00 「吹奏楽のセッションレコーディング 1」
10月12日(日) 10:00-18:00 「吹奏楽のセッションレコーディング 2」
場所
名古屋芸術大学 東キャンパス 3号館ホール / 2号館ロビー / 2号館スタジオ
内容
ドイツ・ベルリンより、トーンマイスター、フローリアン・B・シュミット⽒を特別客員教授として迎え、クラシック⾳楽の録⾳の特別講義と録⾳実習を⾏いました。具体的には、本学ウィンドオーケストラ(吹奏楽)のステレオとイマーシブオーディオ(Dolby Atmos、360 Reality Audio)のためのセッションレコーディングを⾏いました。収録後は編集、ミックスを行い、最終的には本学のレーベル、NUA Recordsを通じApple Musicなどから配信リリースするところまでを経験する内容となりました。
特別講師
特別客員教授 フローリアン・B・シュミット Special Guest Professor Florian B. Schmidt
プロフィール
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1968年ドイツ・カールスルーエ生まれ。1996年ベルリン芸術大学にてディプロム・トーンマイスターを取得。フリーランスのトーンマイスターとして20年以上の経験を持ち、特にドイツ公共ラジオ ドイチュラントフンク・クルトゥーアのコンサート中継や、放送局と外部レーベルとのコ・プロダクションによる原盤制作のプロデューサーとして活躍している。また、2014年に、アキ・マトゥッシュ氏と録音制作会社 Pegasus Musikproduktionを共同設立し、Sony、Accentus、Harmonia Mundi Franceなどのレーベルの録音を担当している。これまでに、ベルリン放送交響楽団、ベルリンドイツ交響楽団、ベルリンRIAS室内合唱団、べルリン放送コーラス、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、トーンキュンストラー管弦楽団、ドレスデン室内合唱団などと、さまざまなジャンルや時代を網羅する録音作品を制作しており、国内外において数々の賞を受賞している。また、2017年度 ベルリン芸術大学(UdK)トーンマイスターコースの講師として、UdKオーケストラのインターネットライブ中継のプロジェクトを指導している。(氏が担当したレコーディングレポート1 2) |
演奏
名古屋芸術大学ウインドオーケストラ 指揮 : 遠藤宏幸 竹内雅一 八木澤教司
収録予定楽曲
我がゆく道を我は行くなり/八木澤教司、散歩、日傘をさす女性 ー クロード・モネに寄せて/八木澤教司
Arioso Cantabile/Jan van der Roost
主催
名古屋芸術大学 芸術学部 芸術学科 音楽領域 サウンドメディア・コンポジションコース 担当教員 : 長江和哉
機材協力
録音・再生ディバイス : RME(株式会社シンタックスジャパン)
セッティング図
演奏は、3号館ホールで、プロダクションはロビーでステレオで行いました。スタジオのコントロールルームでは、7.1.4のスピーカー環境で、ドルビーアトモスと360 Reality Audioでモニターしながら収録しました。
レポート
本学のグループ通信による本公開講座のレポート
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Tonmeister トーンマイスターとは
トーンマイスターは、1949年よりドイツの音楽大学ではじまった、録音・音響技術と音楽的知識とセンスをもった、「音に関するマスター = Tonmeister トーン マイスター」を養成するトーンマイスターコースを修めた、音楽プロデューサー・ディレクター、バランスエンジニアの総称である。その教育は、音楽収録や中継において、「より芸術的な音楽の伝達」を行うために、録音・音響技術のみではなく、音楽の演奏や音楽理論を始め、管弦楽法、総譜演奏、演奏解釈批評など、演奏家と同等以上のスキルを身につける内容で、音楽収録・中継現場でのリーダーでありながら音楽家のパートナーとなるスペシャリストを養成することを目的としている。現在ドイツでは、ベルリン芸術大学とデトモルト音楽大学にトーンマイスターコースがあり、その他、オーストリア、スイス、イギリス、フランス、オランダ、デンマーク、ポーランドなどヨーロッパの音楽大学でほぼ同様の教育がおこなわれており、ヨーロッパの音楽収録や中継の現場では、これらの教育を修めたトーンマイスターが活躍している。
過去のトーンマイスターワークショップレポート
公開講座トーンマイスターワークショップ 2016
公開講座トーンマイスターワークショップ 2019
公開講座トーンマイスターワークショップ 2022